板読みは麻雀でいうところの「捨て牌を読む能力」に相当します。
*不完全情報ながらも、安定して勝つためには絶対に必要な情報です。
観察ポイントは状況によって様々ですが、常に見るべき重要ポイントがあります。
この記事では板読みの基本となる「3つの観察ポイント」について解説します。
板読みの3要素
そもそも板読みの目的は「巨人の動きを把握すること」です。
*巨人=大口投資家
・相場を作る巨人は買っているのか売っているのか?
・板が読めないカモはどのような行動をしているのか?
・狙いの銘柄はどれくらい盛り上がっているのか?
これが分かれば、後は「強い方」に便乗すれば簡単に利益につながります。
コバンザメのように「強い巨人にくっついてエントリー」したいわけです。
また、リスクレワード比を考えると「大きく値が動くポイント」で参戦するのが正解です。
つまり、板情報から読み取りたいことは次の3点。
・巨人の動き
・カモの動き
・相場の盛り上がり
*多くの人が参戦して盛り上がっている銘柄はボラも大きい傾向があります。
このことが分かっていれば、板読みの3要素も理解できると思います。
①歩み値のサイズ
②歩み値のスピード
③チャート上の変化
何となく分かると思いますが、それぞれ解説していきます。
①歩み値のサイズ
歩み値のサイズを見れば、対戦相手の資金力(パワー)が分かります。
たとえば次の歩み値を見てみましょう。
どれも同じ価格帯での注文ですが、歩み値のサイズによって重要度が全く違います。
歩み値に「注目すべき注文」が流れているのが分かるでしょうか?
ココです。
一撃で2億円を超える買い注文が入っていますよね。
このような大きな買いは資金力の少ない個人投資家には出せませんから、ここでは「巨人が動いた」と分かります。
つまり、こういうことです。
・個人の注文:877×100≒9万円
・巨人の注文:877×257900≒2.2億円
*巨人の一撃は個人の2,000倍以上の力を持っている。
相場を動かしているのは巨人の注文ですから、ここでは巨人の意図に逆らってはいけません。
ただし、この時に重要なラインはなかったので、この巨人はある程度の長期(もしくはスイング)のつもりでポジションを取ったようです。
*ラインについては以下記事参照。
持ち越しの「リバウンド戦略」が有効な場面だったので、巨人もそのつもりで仕掛けてきたようです。
*日足チャートで25日移動平均線からのマイナス乖離が大きい状況でした。
*同じ巨人の一撃でも時と場合によりその注文の意図が異なります。板読みをする時には相手の意図も考えながら行うことが大切です。
*このような状況判断能力を総称して「相場勘」と呼びます。「勘」とは書いてありますが、「何となく」ではなく、知識と経験に基づく思考能力のことです。
巨人は値動きに大きな影響を与えますので、スイング巨人や長期巨人が動き始めると日足単位で値が上がり始めます。
このときも株価は上昇に転じました。*TATERU(1435)の日足チャート
売買の指標として巨人の動きを観察することは板読みの基本です。
「では巨人は負けないのか?」と思うことがあるでしょうが、巨人が負けることも当然あります。
*100%巨人が勝つとは限らないので注意が必要です。
ただ、多くの巨人は知性を持っており、何かの意図があって買いを入れてきます。
何の考えもなく、感情まかせに売買するような無垢の巨人は相場では短命だからです。
したがって、巨人の売買跡を発見したら「どのような意図なのか?」を考える必要があります。
その意図がデイトレなのかスイングなのかによって対処方法は異なりますが、巨人の動きを発見するための基本は「歩み値のサイズ」です。
*ただし、巨人はその動きを消すために特殊な注文方法をとることがあります。
詳しくは以下記事参照↓
②歩み値のスピード
歩み値のスピードには参加者が入れている注文の多さが反映されています。
多くの人が一斉に注文を入れ始めると歩み値はスピードアップして神経質な上下動を始めます。
このような現象は特にライン上で多く見られ、ラインを意識している人の多さがよく分かります。*ライン付近では歩み値が特殊な動き方をします。
また、市場から注目を集めている銘柄は普段よりも歩み値のスピードが速いのも同じ理由です。
さらには、ライン付近では小さな注文が機械的に連続して流れることがよくありますが、これは逆指値注文が作動したことを示しています。
*これはあくまでもイメージです。実際に歩み値の流れ方を見れば意味が分かります。
「主要ラインを少し抜けた所に逆指値注文を置いて損切りしよう」という発想は多くの人が持つ行動パターンです。
そして、同じ価格帯に溜まった逆指値注文がぶち抜かれるとこのような現象が見られます。
*逆指値注文が巨人のカモになることは以前話した通りです↓
このように「歩み値のスピード」にも相場参加者の心理や行動が反映されています。
板読みをする時は「それがどのような意味をもっているのか?」を考察することも重要になります。
③その注文はチャートに反映されているか?
大きな注文が入っているにも関わらず、その結果がチャートに反映されていないことがあります。
このような時は注意が必要で、巨人の注文を吸収しているさらに大きな力が働いている可能性があります。
スイングトレードであれば板上の情報はさほど気にする必要はありませんが、説明がつかないような異常事態を察知する力も要求されます。
*仕手戦や新興銘柄ではスイング~長期投資でも板情報が有効なことがあります。
現象には理由があり、なぜこのような変化が起きているのか?もしくは大きな注文が入っているにも関わらずチャートに反映されていないのか?を考えることが重要です。
投資もビジネスも理詰めで戦ってこそ継続的な勝利を得ることができるのです。
まとめ
板読みをする時に注目すべき「歩み値の観察ポイント」は次の3つです。
・歩み値のサイズ
・歩み値のスピード
・チャート上の変化
デイトレを制するためには巨人を中心とした相場状況を把握することがキーポイントになります。
ここで説明した3つの注目ポイントを意識しながら板情報を見ていきましょう。