ある日の昼下がり、兵士長は何気なくYahooの株式高乖離率ランキングを見ていた。

 

 

 

すると、ある銘柄が目に止まった。

 

 

 

JASDAQ上場のウェッジHD(2388)

 

 

 

兵士長「25日移動平均線からの乖離率が-40だと!?何かあったのか?」

 

新兵「数日前から暴落しているようです。」

 

 

 

 

兵士長「原因は何だ?」

 

 

新兵「ニュースが出ています。財務諸表と監査報告書の内容が分かりにくいためと書いてありますが、何だか意味不明ですね。ホントなんですかね?」

 

 

兵士長「ニュースなんか後付けだから何でもいいんだよ。」

 

 

新兵「兵長、ではこれはまさか・・・」

 

 

兵士長「ああ、間違いない。巨人の仕業だ!

 

 

新兵「・・・・・」

 

 

兵士長「何をビビってやがる?奴らが何をやっているか理解して行動すれば良いだけだ。お前の相場経験は?」

 

 

新兵「訓練兵を卒業したばかりなのでまだ・・・」

 

 

兵士長「ならこの巨人はお前が仕留めろ!」

 

 

新兵「しかし私では・・・」

 

 

兵士長「お前の余剰資金はどれくらいある?」

 

 

新兵「100万ぐらいなら何とか。」

 

 

兵士長「それなら十分だ。いいか、相場に出たら何が起こるか分からない。

 

お前が第一に考えるべきことは儲けることよりも損しないことだ。

 

 

新兵「損しないこと・・・」

 

 

兵士長「そうだ。まずお前の資金量からしてこの巨人に投入するのはせいぜい20万までだ。現在株価が800円前後で推移しているから、まあ200株ってとこだな。」

 

 

新兵「なぜもっと投入しないのですか?高乖離銘柄へのリバウンド投資法は資金効率が良いと習いましたが。」

 

 

兵士長「ああ、確かに高乖離への逆張りは大きく勝てる可能性がある。

しかし必ずリバウンドする保証はない。

 

 

もし買い手が付かなかった場合、お前の資金は当分の間、株式のまま放置することになる。

 

 

全力で買い向かったら動きが取れなくなる(完全塩漬け)可能性があるだろ!

 

かし20万だけなら、例えそうなったとしても残りの80万で策が練れる。お前の資金を全部塩漬けてはダメだ。

 

 

 

新兵「分かりました。では攻撃を開始します。」

 

 

兵士長「待て!株を買う時の戦略と心構えを言ってみろ。」

 

 

新兵「・・・・・」

 

 

兵士長「何も考えずに行動していては奴らの餌食(カモ)だぞ。

 

 

まず心構えだが、お前は立体機動を装備して相場を飛び回るような器用なことはできない。一部の天才トレーダーのマネごとはやめておけ。

 

そんな奴に必要な心構えが、『打たれる覚悟と与える勇気』だ。」

 

 

 

新兵「打たれる覚悟と与える勇気。」

 

 

兵士長「高乖離銘柄は確かにチャンスだが、お前が株を買ったとして上がる保証はない。もし下げ始めてもその事実を受け入れ、次の対策に取り掛かる必要がある。」

 

 

新兵「次の対策とは?」

 

 

兵士長「平均約定値の操作だ。

 

現在株価は800円。仮に半値の400円まで下げたとしたらお前は約8万の含み損を抱えることになる。

 

しかし、損は切らなければ負けは確定しない。

 

お前はそのまま400円の株をまた同じ金額だけ買い増せば良い。」

 

 

 

新兵「それはナンピンと言って危険なのでは?」

 

 

兵士長「無計画なナンピンは身を滅ぼすが、お前の金量はコントロールされているため案ずることはない。」

 

 

新兵「平均約定値とは、兵長がいつも言っているあれですか?」

 

 

兵士長「そうだ、たとえ半値になったとしても同じ資金量(16万)を投入すれば、800円×200株に加え、400円×400株。

 

 

平均約定値は533円にまで下げることができる。

 

 

つまりお前は533円の株を600株持っている計算になり、投入資金の総額は32万。

 

 

全資金量の3分の1ほどだからまだまだ余裕があるし、労働収入があるなら、そこからも捻出して資金量に余裕をもたせておけ。」

 

 

 

新兵「なるほど、下げて来た時の対策も考えておくということですね。」

 

 

兵士長「ああ、そうだ。そしてさらに下げて来ても、この企業が倒産しない限りお前に負けはない。

 

銀行にでも預けたつもりで放っておけば、株価はまたいずれ上がって来る。儲けることよりも絶対に損しないことをまず考えろ。

 

 

 

新兵「では、上げて来た時はどうするんですか?」

 

 

兵士長「上げた時は簡単だ、その時教えてやる。

 

巨人への攻撃を開始しろ。」

 

 

新兵「了解しました。」

 

 

 

 

 

 

新兵「807円で200株なので、合計16万1,400円を投入しました。」

 

 

兵士長「よし、これで今日の任務は完了だ。退社せよ!」

 

 

新兵「!!!まだ30分も労働していませんが・・・よろしいのですか?」

 

 

兵士長「投資家とはそんなものだ。帰って時間を有意義に使え。」

 

 

 

 

 

(翌日14:30)

 

新兵「おはようございます。」

 

兵士長「お前か。昨日の巨人はどうなった?」

 

新兵「ストップ高を付けています。」

 

 

 

新兵「含み益が15,800円。乖離率はまだ-33.2あるのでもっと上昇しそうですね。このままホールドしてみます。」

 

 

兵士長「そうか。今日は相場に変化はないようだ。お前も退社していいぞ。」

 

 

新兵「!!!!!兵長、私はただいま出社してきたところでまだタイムカードも・・・」

 

 

兵士長「投資家とはそんなものだ。帰って時間を有意義に使え。」

 

 

新兵「は、はい・・・」

 

 

 

 

 

(翌日14:30)

 

新兵「兵長、巨人に動きが!株価1000円付近をうろつきはじめました。」

 

 

 

 

 

新兵「しかし、乖離率は依然として-24.2。もっと上がりそうなのでホールドした方がよいのでしょうか?」

 

 

 

兵士長「その辺にしとけ!もっともっとと言い始めるとキリがないぞ。

 

しかしたいていの奴はそうなる。

 

もっと利益が取れそうな気がしていつまでも手放せない。

その結果売れなくなる。

 

ここで必要になってくるのが『与える勇気』だ!」

 

 

新兵「与える勇気・・・」

 

 

兵士長「はじめに言った、『打たれる覚悟』とは株価が下げて含み損が出ても、自分がそれを引き受ける覚悟のこと。

 

 

そして今回お前に必要なのが『与える勇気』だ。

 

 

売る段階にきているのにホールドし続ける理由はただ1つ。

 

お前は欲にまみれている。

 

 

しかし株を売るタイミングは株価が上昇している時であって、下げ始めてから売っているようではもう遅い。

 

利益を一人占めしようとせず、他者にも与える勇気が必要だ。

 

 

お前にはもう十分なだけの利益がある。

 

まだ上がるかもしれないが、その株は次の人に譲り渡してやれ。

 

 

そして上げたとしても、お前から株を買ってくれた人が儲かるならそれで良しと考えろ。

 

 

持ち続けるのは含み損が乗っている時だけで、利益はそこそこで良い。」

 

 

 

新兵「・・・・・。確かに私は少し欲が過ぎていたようです。

 

この株は次の人に譲り、その人が儲かることを祈ります。」

 

 

 

兵士長「やってみろ。」

 

 

 

 

 

 

新兵「ミスって100株ずつになってしまいました。」

 

 

兵士長「ツールの使い方はそのうち慣れて来る。大事なのは戦略とマインドセットだ。」

 

 

新兵「『打たれる覚悟と与える勇気』ですね。」

 

 

兵士長「そうだ。今日もこれで任務完了だ。」

 

 

新兵「ありがとうございました。お先に失礼します。」

 

 

 

 

(後日)

 

新兵「兵長、どうやらあの後株価は下がったようです。」

 

 

 

兵士長「そうか、だが案ずることはない。

 

次の者もしっかり計画的に売買していれば負けることはない。

 

お前は自分が取れるリスクの範囲内で戦略的に戦えばいい。それでは損益報告をせよ!」

 

 

 

新兵「16万1,400円で買った株が19万9,300円で売れました。

 

差引き37,900円から税金と手数料7,900円を差し引くと、純利益30,000円のプラスとなりました。」

 

 

兵士長「よし。それでは巨人討伐数1を与える。この調子でさらに経験を積んでいけ。」