兵士長「株式投資を始めて数年。思い起こせば色々なことがあった。

 

最初の頃は散々やられていたが、徐々に戦い方を身に付け反撃を開始した。

 

 

技が完璧に決まることはほとんどなく、あと一歩というところで悔しい思いをしたことも多かった。

 

 

その中でも新興銘柄だった、アキュセラインク(4589)との戦いは思い出深い。」

*現在は窪田製薬(4596)に商号変更

 

 

 

 

アキュセラインクは眼疾患治療薬の開発を手掛けるバイオベンチャーとして新興市場に上場していた。

 

 

 

新薬の開発に成功すればその利益は計り知れない。

 

 

 

私はある投資家を通じてアキュセラのことを知り、値動きを監視していた。

 

 

始めは何の変化もなかったアキュセラの株価だが、ある日ゆっくりと上昇を開始した。

 

 

 

 

上昇開始から調整の下げを入れつつ株価は上昇トレンドを描き始めたが、上図のようにチャートの形がいびつであり、明確なシグナルもなかったためエントリーできずにいた。

 

 

 

しかし、上昇開始から3ヶ月目、はっきりと分かる三角持合いが出現した。

 

 

 

 

株価は2,000円台とまだ安い。

 

 

 

ただ、問題なのはアキュセラが新興銘柄であり、新興株は資産構築には向かないことだった。

 

 

 

確かに当たれば大きいだろう。

 

 

 

しかもこの案件は新薬が絡んでいる。

 

 

 

長期間のホールドも視野に入れれば、数倍から数十倍だって夢じゃない。

 

 

 

だが・・・

 

 

 

私は思いあぐねていた。

 

 

 

過去にもスター株は数多く存在したが、その全てが一等星になれたわけではない。

 

 

 

一世を風靡し、大化けするかと思いきや消えていった銘柄も数知れない。

 

 

 

 

私は再びチャートに目を向けた。

 

 

 

明らかな三角持合いが描かれている。

 

 

 

買うならここしかない。

 

 

 

しかし全力で向かうべきではない。

 

 

 

私の目的は資産構築。優先すべきは増やすことより減らさないこと。

 

 

 

資産をマネーゲームにさらしてはいけない。

 

 

 

そして、私は1回目の打診買いを入れた。

 

 

その数100株。

 

 

投資額にして約20数万。

 

 

そのあまりにもチキンな選択に兵団内からも異論が巻き起こった。

 

 

 

あまりにもチキンすぎやしないか?

 

 

 

戦う気があるのかと。

 

 

 

しかし私は知っている。

 

 

 

これまでに数多くの投資家たちが一攫千金を夢見てスター銘柄に賭け、散っていったことを。

 

 

 

そして兵士長には投資の流儀があった。

 

 

 

 

新興株は信用しない。

 

 

 

 

確かに大化けする銘柄もあるだろう。

 

 

しかし新興株は新興株。

 

 

東証1部の超巨大銘柄に比べれば不確定要素だらけで不安定そのもの。

 

 

 

資産をマネーゲームに晒してはいけない。

 

 

 

資産構築は一生かけて行うもの。

 

 

 

一度でも失敗すれば終了する。

 

 

 

そして資産を失えばまた壁の中。

 

 

 

社畜として長時間労働を強いられることになる。

 

 

 

それがこの残酷な社会のオキテ。

 

 

 

それを避けるには鉄壁の防御態勢を敷く必要がある。

 

 

 

新興銘柄を信仰してはいけない。

 

 

 

そして、お小遣いレベルの資金を投入した兵士長は株価の動向を見守った。

 

 

 

アキュセラ株は続伸した。

 

 

どうやら市場の期待は大きいようだ。

 

 

エントリータイミングも良く、株価は安全圏にまで上昇したため、損切りの可能性は小さくなった。

 

 

 

この後の株価調整が大きければ同値撤退すれば良いだけのこと。

 

 

さあ値動きはどうなる?

 

 

再び三角持合い。

 

 

さらなる株価続伸の可能性を考えた兵士長の決断は、

 

 

ピラミッティング。

 

 

 

追撃により利益拡大を目指した。

 

 

 

しかし株価はすでに4,000円台。

 

 

さらに、この時点で上昇開始から6ヶ月。

 

 

 

追撃という決断は本当に正しいのか?

 

 

 

しかし市場はイケイケムード。

 

 

アキュセラ信仰は熱を帯びていた。

 

 

 

 

追撃買いを入れた兵士長のポジションは200株、投入総額60万。

 

 

 

撤退ラインを上方にずらし、利益拡大を狙った。

 

 

1ヶ月にも渡る三角持合いを上抜ければ大幅に続伸するはずだ。

 

 

さて市場が出した答えは?

 

 

大幅続伸。

 

 

 

間違いない、この銘柄は一番星になる。

 

 

 

株価はどこまでも上昇し、天に到達するだろう。

 

 

 

株価が100倍になれば、投入した60万は6,000万。

 

 

 

そんな妄想が現実のように感じられ、ふわふわとした夢心地の中、その時は訪れた。

 

 

 

!?

 

 

 

何だ、あの長い陰線は?

 

 

 

株価の調整にしてはちょっと大袈裟すぎやしないか?

 

まあ調整が終われば続伸するだろう。

 

 

 

そんな気楽な気分だったが、翌日の株価は、

 

 

 

ストップ安・・・

 

 

 

ここにきてようやく理解した。

 

 

 

巨人だ!

 

 

 

インサイダー情報を手にした奴らが売りに出たんだ。

 

 

 

しかし、時すでに遅し。

 

 

 

圧倒的な売りの多さに株価は寄り付く気配すらない。

 

 

緩んでいた、完全に。

 

 

 

 

完全に勝利を確信していたため、逆指値も打っていなかった。

 

 

それから数日はナイアガラクラッシャー。

 

どこまで下げるつもりだ?

 

 

既に含み損は40万。

 

 

しかし意外にも冷静な兵士長がいた。

 

 

 

資産レベルの金額を投入していたら全滅していた。

 

 

新興を信じなくてよかった。

 

 

 

後はこの含み損をどう処理するか。

 

 

 

決済したところで、これはもう損切りではなく胴体切りになってしまう。

 

 

 

異常な乖離率にある株価を利用し、この状況を切り抜けるためには・・・

 

 

 

兵士長はある決断に出た。

 

 

寄り付くと同時に200株の追撃ナンピン。

 

 

保有総額80万の400株。

 

 

平均約定値を下げて、リバウンドの波に乗り、この窮地を脱するしかない。

 

 

 

ここまで来たからには徹底抗戦する気で戦いに臨んだ。

 

 

 

そして株価は、

 

 

リバウンド現象到来。

 

 

兵士長は同値撤退にてこの戦いを終えた。

 

 

 

 

今回の壁外遠征ではかなりの犠牲者が想定される。

 

 

 

特に株価が目立った上昇を開始してから追っかけ商いをした者などはほんの数日で損切りする間もなく資金は5分の1以下だ。

 

 

 

 

私も同値撤退により被害を最小限に食い止めることで精一杯だった。

 

 

 

 

監視し始めてから5ヶ月という長い戦いだったが、今回は痛み分けということで手を打つしかないようだ。

 

 

 

新興の一番星を仕留める約束だがもう少し先になりそうだ。